ここは昔から湧き水の多かった所で眼病に効く水と言われいました。偕楽園造成にあたりその湧き水を茶室何陋庵(かろうあん)の茶の湯に用いると共に造園上の景観を考慮し白色の井筒(いづつ)を据えた。
夏なお冷たく、玉のような澄んだ水をたゆまなく吐くので吐玉泉と名づけられました。
茶室何陋庵へは、山吹がゆれる七曲坂を上ってこの水を運んだことでしょう。
水利に詳しい斉昭公の考案とされる吐玉泉は、数メートル離れたところに集水マスを埋め、そこからパイプで導き吐出させている。
造園当時から枯れたことがない清水という。
同じような泉にやはり斉昭公が造った「玉龍泉(ぎょくりゅうせん)」がある。玉龍泉は、茨城県護国神社近くの「桜山駐車場」の桜山側にあります。
井筒は茨城県常陸太田市真弓山から採掘した大理石(寒水石)です。
水戸藩領の特産物であった寒水石は、白く硬い大理石の間に柔らかい黒い部分が縞模様になっており、水の浸食により縞の部分が溝になり時の経過とともに変化していきます。
ある時期になれば取り替えられ、現在のものは4代目とされています。
白色石灰石を総称して寒水石と呼ばれ、産地により茨城・関西では寒水、福島では白王、山口では長州あられと呼ばれているようです。